おれの名はバンビー(上)
俺の名はバンビー
俺の名はバンビーリュウ。
頭のおかしい釣り好きだ。
地元じゃブログのハンドル名るぅと呼ばれていた時期もあった。
ちなみに可愛い嫁っこにはりゅうちゃんと呼ばれ岩国の夜のネオン街ではボブと呼ばれている。
岩国に帰ってきてから4年目。
オーシャンルーラーのテスターとして活動することになった俺は、あの有名な金丸氏と同行することが多くなった。
岩国でのチヌの取材中、金丸氏が唐突に「山中さん、ニックネームとかないんですか?」と聞いてきた。
内心、嫌な予感がした。
釣りビジョンのロケの最中、俺が虫嫌いなのを知っているにも関わらず
「オーシャンルーラーで開発中のワームです!」
と言ってゴキブリのおもちゃを投げつけてきた金丸氏が真面目にニックネームの話などするわけがない。
俺はこれ以上話題が広がらないよう、細心の注意を払って、
「ブログのハンドルネームがるぅなんでみんなそれで呼んでますよ!」
すでにそれが皆に周知されていることが分かれば、それ以上は突っ込んでこないはずだ。
金丸氏「なんかそれ呼びにくいですね~!別の名前考えましょう!」
甘かった。
それまでの付き合いでその程度の返答で揺らぐほど意志の弱い人間ではないと分かっていた。
いや、むしろ容姿からは想像できないほど強い意志を持ち、根性があり、真面目な人だと分かっていた。
その日の順調なロケの運びからくる穏和な空気に俺自身が腑抜けになっていたのだ。
こうなったらマグロ相手に0.3号のPEで挑むようなもの。一方的な展開になるのは目に見えている。
少し距離を置いて会話の根に入られないよう一定の距離をキープするも、カメラマンのSさんがいるためそれを許さない。
仕方なく近接仕様にシフトするも、すぐ根に入るため言葉と言う名のラインが、力関係と経験不足によってジリジリと摩耗していく。
金丸氏「あ、いいの思い付きましたよ!」
ついにトドメを刺しにきた。
これを言わせてしまえば逃げる術はない。
釣っていた魚がラインブレイクして自分に襲いかかってくる。
こう考えてもらえばこの恐怖は容易に想像できるだろう。
しかし、ラインをズタズタにされた俺には対処のしようがなかった。
金丸氏「ファンキー山中なんでどうですか?」
ちょっと待て。
さすがにそれはマズイ。
面識がない上に雑誌を見る限り、男気100%のような方、ファンキー山◯さんと平仮名一文字違いのニックネーム。
これは許されるはずがない。
この状況が諦めかけていた俺の闘志に火をつけた。
るぅ「いや、それはマズイですって!」
腰を落としてなんとか踏ん張る。
しかし、予想だにしなかった出来事が起こる。
Sさん「とりあえず一回聞いてみましょう!」
なんてことだ。
今まで味方をしてくれていると思っていたSさんが。
<敵は本能寺にあり>
まさに火を放たれた信長のような気分だ。
周囲を囲まれた俺はもはやなす術がなかった。
後日、Sさんからメッセージが入る。
「聞いてみたんですが、丁重にお断りされました。」
当たり前だ。
なんの面識もない人間に自分と瓜二つの名前を許可するはずもない。
がしかし、ここで頭を下げればなんとか許して貰えるかもしれない。
「これで改名の話はなくなる・・・」
そう安堵していると、
金丸氏「じゃあファンシーにしましょう!」
似たようなものである。
この名前に改名することによって話はすっかりややこしくなってしまい、許可を得るのも謝るのもおかしな話になってしまった。
しかし、反撃する余力なんて俺にはなかった。
そうして俺は新たな名、ファンシーリュウとして生きていくことになったのだった。
俺の名はバンビー(下)に続く
俺の名はバンビーリュウ。
頭のおかしい釣り好きだ。
地元じゃブログのハンドル名るぅと呼ばれていた時期もあった。
ちなみに可愛い嫁っこにはりゅうちゃんと呼ばれ岩国の夜のネオン街ではボブと呼ばれている。
岩国に帰ってきてから4年目。
オーシャンルーラーのテスターとして活動することになった俺は、あの有名な金丸氏と同行することが多くなった。
岩国でのチヌの取材中、金丸氏が唐突に「山中さん、ニックネームとかないんですか?」と聞いてきた。
内心、嫌な予感がした。
釣りビジョンのロケの最中、俺が虫嫌いなのを知っているにも関わらず
「オーシャンルーラーで開発中のワームです!」
と言ってゴキブリのおもちゃを投げつけてきた金丸氏が真面目にニックネームの話などするわけがない。
俺はこれ以上話題が広がらないよう、細心の注意を払って、
「ブログのハンドルネームがるぅなんでみんなそれで呼んでますよ!」
すでにそれが皆に周知されていることが分かれば、それ以上は突っ込んでこないはずだ。
金丸氏「なんかそれ呼びにくいですね~!別の名前考えましょう!」
甘かった。
それまでの付き合いでその程度の返答で揺らぐほど意志の弱い人間ではないと分かっていた。
いや、むしろ容姿からは想像できないほど強い意志を持ち、根性があり、真面目な人だと分かっていた。
その日の順調なロケの運びからくる穏和な空気に俺自身が腑抜けになっていたのだ。
こうなったらマグロ相手に0.3号のPEで挑むようなもの。一方的な展開になるのは目に見えている。
少し距離を置いて会話の根に入られないよう一定の距離をキープするも、カメラマンのSさんがいるためそれを許さない。
仕方なく近接仕様にシフトするも、すぐ根に入るため言葉と言う名のラインが、力関係と経験不足によってジリジリと摩耗していく。
金丸氏「あ、いいの思い付きましたよ!」
ついにトドメを刺しにきた。
これを言わせてしまえば逃げる術はない。
釣っていた魚がラインブレイクして自分に襲いかかってくる。
こう考えてもらえばこの恐怖は容易に想像できるだろう。
しかし、ラインをズタズタにされた俺には対処のしようがなかった。
金丸氏「ファンキー山中なんでどうですか?」
ちょっと待て。
さすがにそれはマズイ。
面識がない上に雑誌を見る限り、男気100%のような方、ファンキー山◯さんと平仮名一文字違いのニックネーム。
これは許されるはずがない。
この状況が諦めかけていた俺の闘志に火をつけた。
るぅ「いや、それはマズイですって!」
腰を落としてなんとか踏ん張る。
しかし、予想だにしなかった出来事が起こる。
Sさん「とりあえず一回聞いてみましょう!」
なんてことだ。
今まで味方をしてくれていると思っていたSさんが。
<敵は本能寺にあり>
まさに火を放たれた信長のような気分だ。
周囲を囲まれた俺はもはやなす術がなかった。
後日、Sさんからメッセージが入る。
「聞いてみたんですが、丁重にお断りされました。」
当たり前だ。
なんの面識もない人間に自分と瓜二つの名前を許可するはずもない。
がしかし、ここで頭を下げればなんとか許して貰えるかもしれない。
「これで改名の話はなくなる・・・」
そう安堵していると、
金丸氏「じゃあファンシーにしましょう!」
似たようなものである。
この名前に改名することによって話はすっかりややこしくなってしまい、許可を得るのも謝るのもおかしな話になってしまった。
しかし、反撃する余力なんて俺にはなかった。
そうして俺は新たな名、ファンシーリュウとして生きていくことになったのだった。
俺の名はバンビー(下)に続く
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