俺の名はバンビー(中)

ファンシーの名を授かって約2年。

周囲の皆さんにもようやく認知され始めた。

ある時はコンビニで
「ファンシーさんだ!」
と大声で叫ばれ、
店員その他諸々に失笑され、

ある時は釣具店で、
「ファンシーってあれどうなん?」
みたいな噂話を至近距離で聞いたり、

認知はされているものの、
その方向がはたして正しいのかどうか非常に不安になっていた。



そして、今年。
あのアジングのカリスマこと、海猿氏が広島に帰ってきた。

相棒だったウ◯ー氏が、俺に付き合いきれないと恐れをなして逃げるどころか釣りまでやめてしまったので、どうもやる気が入らない日常を過ごしていた俺は、自分と同じようにオ◯ニーを覚えた猿のように釣りに行く海猿氏と釣りに行く機会が増えていった。


ある日、その海猿氏から入電。


「西にチヌ行くんだがどこらへんか教えてくれ!」

軽く教えたものの、頭の中はすでに国道で行くか高速で行くかの段階で迷っていた。

嫁にOKをもらい、(そもそもNOはないように教育している、が最近俺が好きすぎて離れたくないらしい。)折り返し電話。


「行きます。」


ふと、考える。


(海猿さん、チヌ久しぶりだろうな・・・。場所も曖昧だろうな・・・)


・・・!!!!!



やるなら今しかない!

場所的にもアドバンテージがあり、腕がなまっているであろう今がチャンス!
あの強気な海猿氏の鼻っ柱をへし折るなら今しかないない。

「フルボッコにしてやる。」

そう誓った俺は、道中の車で作戦を立てた。

1.エリアを絞らせない。
チヌはどこに投げても釣れるわけではない。流や地形変化でつき場が変わる。
状況にアドバンテージがある俺からの情報を遮断すればいくら海猿氏と言えどもひとたまりもないだろう。

2.釣り中は黙る。
俺はよく喋る男だ。
がしかし、話術は相手の方が上。喋ればペースを乱されるし、情報を引き出されるかもしれない。ひたすらに黙々と釣りをすることで海猿氏にプレッシャーを掛ける作戦だ。

3.先制攻撃
先に入っている海猿氏がつれていなかった場合、先制攻撃の大チャンスだ。
入ってすぐ結果が出れば精神的ダメージを与えられる。



そう。






ただの卑怯者である。


そもそも真正面からぶつかり合うということを考えずに相手を倒すことだけを考えてしまったのだ。

それ故にこの時点で重大なミスを犯していることに気が付かなかった。



俺の名はバンビー(下)に続く・・・



Everything is field

すべての答えは、フィールドにある。